導入事例 中本薬局様

CASE03

「ヒューマンエラー」への挑戦。薬剤師の安心が患者様に安心をもたらす。

広島県呉市
内科 門前薬局 (クリニック) 地域密着
取材日:2012年05月

「人間は必ずミスをする」という事を前提に調剤過誤の防止に取組む「中本薬局」。処方と異なる規格違いの薬品やジェネリックのメーカー違いをauditが発見し、人間が見逃しやすい「うっかりミス」を防止している。調剤のミスだけでなく、レセコンの入力ミスを発見することもあり、効果的にミスを減らしている。

中本薬局
細川 貴美子 様(管理薬剤師)

レセコンの入力ミスも発見

瀬戸内海に面し三方を山に囲まれた呉市。天然の良港と言われ、古くは村上水軍の一派が根城にし、明治時代以降は帝国海軍、そして現在は海上自衛隊の拠点となっている。戦艦大和ミュージアム等、海軍ゆかりの観光施設もたくさんある。長く軍事上の要衝であったことが社会インフラへも影響を与え、薬剤師会と病院が連携し救急医療態勢を整える等、医療インフラの整備が進んでいる。その為、高齢者にとっても住み易い街となっている。「中本薬局(細川 貴美子 様/管理薬剤師)」は当地の老舗薬局だ。

「中本薬局」は1958年の創業以来地元に密着した薬局経営を実践している。かつてはOTC医薬品や日用生活雑貨を主に販売する薬局であったが、近隣クリニック、大規模病院の院外処方の増加もあり、保険調剤薬局としての役割を担うようになった、と細川氏は語る。2012年には保険調剤を目的に来店される患者様向けに、日用生活雑貨の陳列スペースを撤去し待合スペースを設けた。現在同薬局では近隣クリニックの処方を中心に約30医療機関から1日約40枚の処方箋を取り扱っている。店舗では薬剤師2名、調剤事務2名、OTC医薬品・化粧品の販売員1名の計5名が勤務している。また従業員全員が女性ということもあり、いつも明るい笑い声が溢れている。

同薬局ではレセコンの更新を機に「調剤監査支援システム audit」の導入を決めた。導入前よりダブルチェックによるミスの防止を心掛けてきたという同薬局。しかし人が作業する限り『うっかりミス』は防げず、ダブルチェックに限界すら感じていた。auditを使用しはじめてミスは確実に減少した、と同氏。同システムでは処方と異なる薬品を不合格と判定する為、薬間違いを投薬前に発見できる。以前は患者様の前で間違いに気付く事もあった。調剤のやり直しの為、患者様を待たせてしまうことは勿論、そのことにより患者様に不信感を抱かせてしまう事が薬局にとって大きな損失だったと同氏は語る。さらにauditを使用する事でレセコンへの入力ミスを発見する事もあるという。当薬局では処方箋をコピーし、レセコンへの入力と並行して調剤を行っている。「処方箋通りに調剤したにも関わらず、auditの監査で不合格になる事がある。その際はレセコンの入力データを確認すると打ち間違いが判明した。」と同氏。薬の種類の打ち間違いの他、一包化の入力漏れ等も発見できるという。レセコンに入力した処方データを元に監査するauditの特性を有効に活用している例といえる。

調剤室の様子

ダブルチェックをしてもミスは発生する

「ダブルチェックといえども先入観や思い込みもあり、いくら注意しても防げない『うっかりミス』はある。」と同氏。ミスが健康被害を招く事もある調剤業務。「人間は必ずミスをする」という事を前提に薬局運営を考える重要性を語った。また監査結果を記録に残すことは、薬剤師自身の安心に繋がっていると同氏は語る。「投薬後、患者様から薬不足を指摘される事があるが、auditに記録が残っているので自信を持って対応できるようになった。たとえ患者様の勘違いでも記録が無かったので薬剤師の精神的なストレスになっていた。」と同氏。今後高齢化が進み同様の問合せが増える可能性は高く、証拠を残す事の意義はますます大きくなるという。

「中本薬局」では、患者様に正しい薬を投薬し、薬剤師も安心して働ける職場環境を整え、これからも地域の医療を担う薬局として、患者様の健康と共に歩み続ける。

auditを操作する細川氏